
御朱印巡りを20年続けて分かった、1日に回れる寺社の数の目安
「せっかくの休みだから、1日でできるだけ多くの寺社を回りたい」。
御朱印帳を手にした人なら、一度はそう考えたことがあると思います。
はじめまして、旅ライターの久住美緒です。
国内旅行会社で12年間添乗員をしていて、寺社巡りのツアーも数えきれないほど担当しました。
独立してからも御朱印巡りは続けていて、寺社巡り歴はかれこれ20年、御朱印帳は30冊を超えました。
その間に「回りすぎて、最後の1か所で受付が終わっていた」という失敗も何度かしています。
この記事では、私が実際に組んできた行程と、寺社や霊場会が公式に出している受付時間をもとに、1日に何か所回れるのかの目安をお伝えします。
初めて計画を立てる方にも、慣れてきて数を増やしたくなっている方にも、参考にしてもらえるはずです。
目次
1日に回れる寺社は3〜5か所が目安
先に答えを書いておきます。
ゆっくり参拝して御朱印もいただくなら、1日に回れるのは3〜5か所です。
これより少なくても、もちろん問題ありません。
一方で、5か所を超える日を組むときは、寺社どうしが近いことが条件になります。
移動手段と距離で変わる目安
同じ「1日」でも、歩いて回るのか車なのか、寺社どうしがどれくらい離れているのかで、回れる数はかなり変わります。
私の経験からまとめると、次のようになります。
| 回り方 | 1日の目安 | 向いている例 |
|---|---|---|
| 徒歩で、寺社が密集しているエリア | 5〜7か所 | 七福神巡り、門前町の散策 |
| 電車とバスを乗り継ぐ | 3〜4か所 | 都市部から郊外の寺社へ |
| 車で、郊外の寺社をつなぐ | 4〜6か所 | 霊場巡り、一の宮巡り |
| 大きな神社やお寺を含む日 | 2〜3か所 | 伊勢神宮、伏見稲荷大社など |
七福神巡りは、歩いて回れる範囲に寺社が集まっているので数を稼ぎやすいコースです。
たとえば文京区のガイドツアーで案内されている小石川七福神は、全行程が約3kmで、所要時間は2時間30分程度とされています。
ただし、七福神巡りの案内に書かれている所要時間は、移動だけの時間であることが少なくありません。
浅草名所七福神会の案内も、約7kmのコースを「参拝時間を除く」2時間30分としています。
ここに1か所あたりの参拝と御朱印の時間を足すと、半日では終わらないこともあります。
電車とバスを乗り継ぐ日は、バスの本数にも左右されます。
地方の寺社だと路線バスが1時間に1本ということも珍しくなく、1本逃すだけで次の寺社に着く時刻が大きくずれます。
私はバスの日は帰りの時刻を先に調べて、そこから逆算して境内にいられる時間を決めるようにしています。
1か所あたりにかかる時間の内訳
私は計画を立てるとき、1か所につき1時間で見積もります。
内訳はだいたい次のとおりです。
- 駐車場や駅から本殿・本堂までの移動と参拝で20〜30分
- 御朱印をいただくまでの待ち時間で5〜15分
- 次の寺社までの移動で20〜30分
小さな神社なら30分で済むこともあります。
反対に、境内が広いところは1時間では足りません。
伊勢神宮の公式サイトでは、外宮は30分と60分、内宮は60分と90分のモデルコースが紹介されています。
内宮をきちんと歩くだけで1時間半かかるわけですから、こうした大きな社を含む日は、ほかの予定を減らすことになります。
正月や記念日は待ち時間が読めない
ふだんの日なら、御朱印は数分から10分ほどで書いていただけることがほとんどです。
ところが、正月や大型連休、限定の御朱印が出る日は話が変わります。
令和への改元のときには、各地の寺社に御朱印を求める列ができました。
プレジデントオンラインの記事では、明治神宮で数時間待ちの行列ができ、伊勢神宮の内宮では宇治橋を越えて人が並んだと伝えています。
混雑する時期には、書き置き(あらかじめ紙に書かれた御朱印)だけの対応になる寺社もあります。
伏見稲荷大社は令和8年の初詣について、御朱印は書き置きのみの対応にすると公式サイトで案内していました。
御朱印帳に直接書いていただきたい方は、こうした時期を避けるだけでも、1日に回れる数がぐっと読みやすくなります。
回れる数を決めるのは受付時間
1日に何か所回れるかは、体力より先に「御朱印の受付時間」で決まります。
参拝そのものは早朝や夕方でもできても、授与所や納経所が開いている時間は限られているからです。
朝8〜9時に開き、夕方16〜17時に締まるところが多い
公式に受付時間を出している霊場や神社をいくつか並べてみます。
| 寺社・霊場 | 御朱印・納経の受付時間 |
|---|---|
| 四国八十八ヶ所霊場 | 午前8時〜午後5時(令和6年4月1日から開始が7時→8時に変更) |
| 秩父三十四観音霊場 | 3〜10月は8時〜17時、11〜2月は8時〜16時(昼休み12時〜12時30分) |
| 諏訪大社 上社前宮 | 9時〜16時半 |
| 諏訪大社 下社春宮 | 8時半〜16時半 |
四国の霊場は、以前は朝7時から納経を受け付けていました。
四国八十八ヶ所霊場会の料金改定・変更のお知らせによれば、令和6年4月1日から午前8時開始に変わっています。
古いガイド本やまとめ記事には7時と書かれたものが残っているので、気をつけてください。
こうして見ると、受付が開いているのは長くても1日8〜9時間です。
移動と食事の時間を引けば、御朱印をいただける時間は実質6〜7時間しかありません。
1か所1時間で見積もると、無理なく回れるのは5か所前後という計算になります。
冬と昼休み、行事の日は1か所減らす
受付時間は季節で変わることがあります。
秩父札所連合会のよくある質問を見ると、11月から2月は受付の終わりが17時から16時に早まり、通年で12時から12時30分の昼休みもあります。
秩父は私の住む埼玉からも近いので何度も通っていますが、冬の秩父で欲張って5か所目を入れると、たいてい最後が駆け足になります。
冬は日が落ちるのも早いので、夏より1か所減らすくらいがちょうどいいと感じています。
もう一つ見落としやすいのが、神職やお坊さんが常にいるとは限らないことです。
宮城県神社庁は御朱印のマナーとして、受付時間が神社ごとに違うことや、職員が常駐していない神社があることを挙げています。
お祭りや行事の日には、御朱印を受け付けていない場合もあるそうです。
小さな神社を回る日は、事前に電話や公式サイトで確かめておくと安心です。
お寺の場合は、そもそも御朱印を出していないところもあります。
たとえば京都の東本願寺は、公式サイトのよくある質問で「東本願寺では御朱印は行っておりません」と答えています。
行程に入れたものの御朱印がいただけなかった、ということにならないよう、お寺を回るときはこの点も確かめておきたいところです。
もちろん、御朱印がなくてもお参りする価値は変わりません。
私は「この日は御朱印のない1か所を入れてゆっくりする」と決めて、あえて組み込むこともあります。
諏訪大社の4社巡りで考える1日の組み立て
具体的な例として、長野県の諏訪大社を取り上げます。
諏訪大社は、諏訪湖の南側に上社の本宮と前宮、北側に下社の秋宮と春宮があり、4つのお宮で成り立っています。
諏訪大社のよくある質問によると、お参りの順番に決まりはありません。
4社それぞれの御朱印は全部違うもので、4社の御朱印を受けた人には記念の品が渡されます。
御朱印巡りが好きな人なら、1日で4社を回りたくなる場所です。
ここで気をつけたいのが授与所の時間です。
諏訪大社の参拝案内では、本宮と秋宮の授与所は17時まで開いていますが、前宮と春宮は16時半で締まります。
上社と下社は諏訪湖を挟んで十数キロ離れています。
最後に回るお宮が前宮か春宮になるなら、16時半までに着くように逆算しておく必要があります。
4社それぞれの由緒や、前宮から歩き始めるルートは、浜西慎一さんの神社巡りブログ「日本文化を探る旅」の諏訪大社の記事で詳しく紹介されています。
本殿を持たない理由や御柱の話まで掘り下げてあるので、現地に行く前に読んでおくと、4社を回る時間が一段と面白くなります。
その記事では、車なら移動を含めて約3〜4時間を見ておくとよいとされていました。
私が車で回ったときは、宝物殿をのぞいたりお昼をゆっくり食べたりしたので、朝9時から15時ごろまでかかりました。
つまり、4社を丁寧に回ると、それだけでほぼ1日が終わります。
「諏訪大社の4社+周辺の寺社を2〜3か所」と欲張るより、4社で1日と考えておくほうが、気持ちに余裕を持って参拝できます。
車がない場合も、JR中央本線の茅野駅と下諏訪駅を起点にすれば回れます。
上社の2社は茅野駅からタクシーを使い、電車で下諏訪駅へ移動して、下社の2社は歩いて回る形です。
この場合は電車の時刻に合わせる必要があるので、車の日より少し早めに出発しておくと安心です。
回りすぎて失敗した日のこと
添乗員を辞めて間もないころ、鎌倉で1日8か所を回る計画を立てたことがあります。
ツアーの行程表を組むのには慣れていたので、移動時間さえ詰めれば何とかなると思っていました。
結果は、6か所目で授与所の受付が終わっていました。
しかも途中から「次に間に合うか」ばかり気にして、手を合わせている時間がどんどん短くなっていたのです。
御朱印帳を見返しても、その日のページだけは何を祈ったのか思い出せません。
神社本庁は御朱印についての中で、御朱印を「神社参拝した証としていただく」ものと説明しています。
四国八十八ヶ所霊場会も「お遍路の心得」で、納経は原則としてお参りを済ませてから受けるもので、記念スタンプではないと書いています。
同じ心得には、納経時間の終了直前であれば、理由を告げたうえで順序が逆になってもよいという案内もあります。
間に合わないときの例外として認められているわけですが、毎回これに頼るような行程は組まないほうがいい、というのが私の考えです。
それ以来、どんな行程でも1か所あたり1時間で見積もり、最後に30分の余裕を残すようにしています。
無理なく回るための計画の立て方
最後に、私が行程を組むときに必ず確認していることをまとめます。
- 回る予定の寺社すべての受付時間を、前日までに公式サイトで確認する
- 受付が早く締まる寺社を、1日の前半か真ん中に入れる
- 大きな神社やお寺は、1か所で1時間以上かかると見ておく
- 冬(11月〜2月)は夏より1か所減らす
- 正月や大型連休は御朱印の待ち時間が延びるので、さらに1か所減らす
- 最後の寺社の受付終了時刻の30分前には着くように組む
- 初穂料や納経料用の小銭を、1か所500円として用意しておく
最後の小銭については、ここ数年で金額が上がっていることも理由です。
四国の霊場では令和6年4月から納経帳への納経料が300円から500円になり、秩父の札所も御朱印料は500円です。
1日5か所なら2,500円ほど見ておけば足ります。
1日4か所のモデル行程
参考までに、私がよく組む「車で1日4か所」の行程を載せておきます。
受付が8時半から9時に開き、16時半から17時に締まる寺社を想定しています。
| 時刻 | 予定 |
|---|---|
| 9:00 | 1か所目に到着、参拝と御朱印 |
| 10:30 | 2か所目に到着、参拝と御朱印 |
| 12:00 | 昼食(寺社の昼休みと重なりやすいので、この時間に食べてしまう) |
| 13:30 | 3か所目に到着。境内の広い寺社はここに入れる |
| 15:30 | 4か所目に到着。受付が早く締まる寺社は避ける |
| 16:30 | 予備の時間。渋滞や待ち時間が延びたときに使う |
ポイントは、昼食を寺社の昼休みに合わせることと、最後の1か所を受付が遅くまで開いているところにすることです。
これだけで、夕方に慌てて走ることがほとんどなくなりました。
まとめ
1日に回れる寺社の数は、ゆっくり参拝して御朱印もいただくなら3〜5か所が目安です。
寺社が密集した七福神巡りなら5〜7か所、大きな神社を含む日は2〜3か所と、場所と移動手段によって変わります。
数を決めるうえで一番大きいのは、御朱印の受付時間です。
多くの寺社は朝8〜9時に開いて夕方16〜17時に締まるので、使える時間は思っているより短いと考えてください。
冬や昼休み、行事の日は、さらに1か所減らすくらいでちょうどいいです。
私自身、数を追いかけていた時期より、1日3〜4か所に絞るようになってからのほうが、御朱印帳を開いたときに思い出す景色が増えました。
次の御朱印巡りでは、ぜひ少し余白のある行程を組んでみてください。
最終更新日 2026年10月6日 by otecto







